2025-03

『孫子の兵法』第七篇「軍争篇」

第29回【軍争篇(3)】軍争篇の総括――先手を制し、行軍と補給を支配する

軍争篇は、『孫子』の第7篇でありながら、行軍や補給線、先手必勝に関する実務的な知見が詰まった章です。計篇~勢篇・虚実篇までの諸概念(戦略的準備、不敗の態勢、攻撃の勢、敵の誘導)を、実際の移動と地形の観点で応用する形になっています。前回【軍争篇(2)】では、「先に要衝を押さえる」「危険なルートは避ける」など、より具体的な行軍法を学びました。本稿【軍争篇(3)】では、軍争篇全体をまとめ直し、次章「九変(きゅうへん)篇」へとつなげます。
『孫子の兵法』第七篇「軍争篇」

第28回【軍争篇(2)】先手必勝の要領――行軍と補給線の管理

計篇から続いてきた『孫子』の兵法論も、軍争篇に入って実際の移動戦・補給戦の要点を探る段階に移りました。前回は「先に要衝を押さえてしまえば相手は後手に回り疲弊する」という大原則を示しましたが、軍争篇後半では、そのための具体的な行軍ルートの考え方や、補給・民心の活用・遠征時の注意点が説かれます。勢篇・虚実篇で学んだ“奇と正”や“利と害”の駆け引きを、行軍レベルに落とし込む内容とも言えるでしょう。
『孫子の兵法』第七篇「軍争篇」

第27回【軍争篇(1)】機動と地形を制する――先手必勝の要件

虚実篇までで孫子兵法の大枠(戦前分析・詭道・形勢・誘導)が整いました。軍争篇では、実際の行軍や戦場への移動にフォーカスが移り、どうすれば相手より先に有利な地を確保できるか、背後を突かれずに機動力を発揮するかなど、より実務的かつ地形依存の論が展開されます。
『孫子の兵法』第六篇「虚実篇」

第26回【虚実篇(3)】虚実の総括――形・勢・虚実の三位一体

虚実篇は、「相手をどう誘導し、弱点(虚)を突くか」を具体的に示す章でした。計篇から勢篇にかけては、自軍の不敗態勢や攻撃の加速(形・勢)を主眼に置いていましたが、虚実篇ではさらに敵軍を翻弄する要素が加わり、兵法の「詭道(きどう)」がより立体的に展開されます。