『孫子の兵法』第六篇「虚実篇」

『孫子の兵法』第六篇「虚実篇」

第26回【虚実篇(3)】虚実の総括――形・勢・虚実の三位一体

虚実篇は、「相手をどう誘導し、弱点(虚)を突くか」を具体的に示す章でした。計篇から勢篇にかけては、自軍の不敗態勢や攻撃の加速(形・勢)を主眼に置いていましたが、虚実篇ではさらに敵軍を翻弄する要素が加わり、兵法の「詭道(きどう)」がより立体的に展開されます。
『孫子の兵法』第六篇「虚実篇」

第25回【虚実篇(2)】“虚を突き、実を避ける”の実際――敵を動かす技術

虚実篇の核心は、相手の強み(実)と弱み(虚)を正確に見極め、最低限の消耗で相手を崩す戦略です。形篇や勢篇で、不敗の態勢と攻撃の爆発力を学んできたように、虚実篇ではさらに相手の立場・心理を誘導する要素が強調されます。今回【虚実篇(2)】は、その後半部分を読み解きつつ、”奇正”にも繋がる誘導と欺瞞の技術を具体化していきましょう。
『孫子の兵法』第六篇「虚実篇」

第24回【虚実篇(1)】“虚”を突き“実”を避ける――奇正を深化する戦略

計篇・作戦篇・謀攻篇・形篇・勢篇と学んできたように、孫子は「戦う前に勝つ道筋を作る」ことを一貫して重視してきました。虚実篇は、さらにその戦術面を深め、敵の弱点(虚)を突き、自軍が不利な地点(実)を回避することで最小限の消耗で最大効果を得る方法を論じます。これは前章・勢篇の「奇と正」概念とも緊密に関連し、相手の虚を巧みに作り出しつつ、自軍は“実”を保ち続ける考え方につながっていきます。