2025-02

仏教

「第一の矢・第二の矢」の教え

「第一の矢・第二の矢」の教えは、パーリ語経典の『サンユッタ・ニカーヤ』(相応部)第36相応第6経に登場する「サッラッタ(サッラ)経(Sallatha Sutta、別名『矢の経』)」に由来します​。この経典でブッダ(釈尊)は、苦痛に対する弟子と凡夫(仏法を知らない一般人)の違いを説く中で、一つ目の矢と二つ目の矢のたとえを用いています。漢訳では『雑阿含経』巻17第470経「箭経」としても伝わっており​、初期仏教の教えとして両伝統に残っています(大乗仏典そのものではなく、根本仏教の経典に位置づけられます)。
『孫子の兵法』第六篇「虚実篇」

第25回【虚実篇(2)】“虚を突き、実を避ける”の実際――敵を動かす技術

虚実篇の核心は、相手の強み(実)と弱み(虚)を正確に見極め、最低限の消耗で相手を崩す戦略です。形篇や勢篇で、不敗の態勢と攻撃の爆発力を学んできたように、虚実篇ではさらに相手の立場・心理を誘導する要素が強調されます。今回【虚実篇(2)】は、その後半部分を読み解きつつ、”奇正”にも繋がる誘導と欺瞞の技術を具体化していきましょう。
『孫子の兵法』第六篇「虚実篇」

第24回【虚実篇(1)】“虚”を突き“実”を避ける――奇正を深化する戦略

計篇・作戦篇・謀攻篇・形篇・勢篇と学んできたように、孫子は「戦う前に勝つ道筋を作る」ことを一貫して重視してきました。虚実篇は、さらにその戦術面を深め、敵の弱点(虚)を突き、自軍が不利な地点(実)を回避することで最小限の消耗で最大効果を得る方法を論じます。これは前章・勢篇の「奇と正」概念とも緊密に関連し、相手の虚を巧みに作り出しつつ、自軍は“実”を保ち続ける考え方につながっていきます。
『孫子の兵法』第五篇「勢篇」

第23回【勢篇(3)】“勢”の総括――奇正を操り、攻守を一瞬で転換する

これまでの勢篇(1)・(2)で、孫子が説く“勢”とは何か、その基本概念や具体的運用例(奇正の使い分け、リズムの取り方)を学んできました。今回【勢篇(3)】は、勢篇全体のまとめとして、形篇で作り上げた“守り”を基盤にどう“勢”を重ね、最小限のコストで最大効果の攻撃を成し遂げるのかを再確認します。加えて、次回以降に登場する「虚実篇」へと繋がる視点も示唆し、孫子兵法が立体的に展開される様子をイメージできるようにします。
『孫子の兵法』第五篇「勢篇」

第22回【勢篇(2)】奇正とリズム――“勢”を最大化する攻守の切り替え

勢篇では、“形”が土台となった上で、攻撃を決定づけるエネルギーの集中やタイミング(節)をどのように作り出すかが論じられます。前回は勢篇の冒頭で「勢は形によって立ち、形が整えば勢は自然に生じる」と学びました。今回【勢篇(2)】は、その続きとして、実際に奇と正をどう使い分け、どのようにリズムを作れば最小限の力で大きな破壊力を発揮できるのか――勢篇後半の記述を読みながら理解を深めます。
『孫子の兵法』第五篇「勢篇」

第21回【勢篇(1)】“勢”とは何か――エネルギー集中の概念

形篇が強調する「不敗の態勢」を先に作るアプローチに対し、勢篇は、いかに“勢”を生かして勝利を決定づけるかを論じる章です。孫子兵法のなかでも、勢篇は「奇と正(きとせい)」や「勢いの加速度」という概念を通じて、攻守の切り替えや兵力集中の妙を示します。
『孫子の兵法』第四篇「形篇」

第20回【形篇(2)】勝ちやすい状況の作り方――形から勢への発展

形篇は『孫子』が説く戦術理論のなかでも、「不敗の態勢を作る」→「敵にとって敗北しやすい状況を逃さない」 という2段構えの重要性を強調する章です。
『孫子の兵法』第四篇「形篇」

第19回【形篇(1)】不敗の態勢を築く――守備の要諦

形篇では、「戦う前に勝ちを決しておく」 という孫子兵法の根幹が、より具体的な形(態勢)や勢(エネルギー)として論じられます。計篇や謀攻篇では、主に戦略レベル(情報戦・外交戦・リーダーシップ)に重点がありましたが、形篇ではもう少し軍事的・戦術的な視点へ踏み込み、不敗の配備を先に整えることで相手に隙を与えない考え方を示します。
『孫子の兵法』第三篇「謀攻篇」

第18回【謀攻篇(3)】「戦わずして勝つ」謀略の実際――謀攻篇の総括

計篇・作戦篇に続く謀攻篇は、『孫子』兵法のなかでも最も象徴的なフレーズ、「最上の勝ち方は戦わずして勝つ」を明示する章でした。これまで(1)、(2)回にわたって、その核心部分(城攻めは下策/外交・情報戦で相手を崩す/不戦而屈人之兵など)を読み解いてきましたが、謀攻篇には“謀”を活かすための前提や、将軍と君主の協調体制などの具体的要素も詰まっています。
『孫子の兵法』第三篇「謀攻篇」

第17回【謀攻篇(2)】“不戦而屈人”の真価――将と君主の役割分担

謀攻篇は、『孫子』が説く“戦わずして勝つ”という理想を明確に打ち出す章です。前回【謀攻篇(1)】では「攻城は下策」「最上は謀を伐つ」など、直接攻撃を避けるメリットが強調されました。今回【謀攻篇(2)】では、謀攻篇の後半部を省略なしで紹介しつつ、将軍と君主の関係や謀略を具体的に活かすためのリーダーシップに焦点を当てます。