
第11回【計篇(6)】計篇の総括――総合的な戦略思考の起点
「計篇」は『孫子』の冒頭に位置する篇(へん)でありながら、全13篇の根幹とも言われる重要な内容を含んでいます。ここでは、“兵は国家の死活問題” という厳粛な宣言から始まり、五事・七計 といった基礎理論、さらに “兵は詭道なり” の概念や “多算勝” の徹底した事前分析思想が繰り返し強調されてきました。今回【計篇(6)】では、これまで5回にわたって解説してきた計篇の要点を総括するとともに、次の「作戦篇」への展望を述べます。計篇のエッセンスが見えてくると、『孫子』全体の流れを理解する大きな足がかりとなるはずです。