『孫子の兵法』第四篇「形篇」

第20回【形篇(2)】勝ちやすい状況の作り方――形から勢への発展

形篇は『孫子』が説く戦術理論のなかでも、「不敗の態勢を作る」→「敵にとって敗北しやすい状況を逃さない」 という2段構えの重要性を強調する章です。
『孫子の兵法』第四篇「形篇」

第19回【形篇(1)】不敗の態勢を築く――守備の要諦

形篇では、「戦う前に勝ちを決しておく」 という孫子兵法の根幹が、より具体的な形(態勢)や勢(エネルギー)として論じられます。計篇や謀攻篇では、主に戦略レベル(情報戦・外交戦・リーダーシップ)に重点がありましたが、形篇ではもう少し軍事的・戦術的な視点へ踏み込み、不敗の配備を先に整えることで相手に隙を与えない考え方を示します。
『孫子の兵法』第三篇「謀攻篇」

第18回【謀攻篇(3)】「戦わずして勝つ」謀略の実際――謀攻篇の総括

計篇・作戦篇に続く謀攻篇は、『孫子』兵法のなかでも最も象徴的なフレーズ、「最上の勝ち方は戦わずして勝つ」を明示する章でした。これまで(1)、(2)回にわたって、その核心部分(城攻めは下策/外交・情報戦で相手を崩す/不戦而屈人之兵など)を読み解いてきましたが、謀攻篇には“謀”を活かすための前提や、将軍と君主の協調体制などの具体的要素も詰まっています。
『孫子の兵法』第三篇「謀攻篇」

第17回【謀攻篇(2)】“不戦而屈人”の真価――将と君主の役割分担

謀攻篇は、『孫子』が説く“戦わずして勝つ”という理想を明確に打ち出す章です。前回【謀攻篇(1)】では「攻城は下策」「最上は謀を伐つ」など、直接攻撃を避けるメリットが強調されました。今回【謀攻篇(2)】では、謀攻篇の後半部を省略なしで紹介しつつ、将軍と君主の関係や謀略を具体的に活かすためのリーダーシップに焦点を当てます。
『孫子の兵法』第三篇「謀攻篇」

第16回【謀攻篇(1)】最高の勝ち方――戦わずして勝つ

計篇・作戦篇で孫子は、戦争に伴うリスクやコストを徹底的に抑え、短期間で終わらせることを説いてきました。謀攻篇は、さらに次のステップとして、そもそも“戦う”という手段を可能な限り減らす――つまり「戦わずして勝つ」方法を模索します。
『孫子の兵法』第二篇「作戦篇」

第15回【作戦篇(4)】作戦篇の総括――短期決戦を支える現実主義

前回【作戦篇(3)】までで、孫子が説く「補給線と戦費」のリスク管理や、「因糧於敵(敵国資源の活用)」などの具体策を概観してきました。作戦篇は全体として、いかにコストを抑えつつ短期で戦いを終わらせるかを徹底的に説く章であり、長期戦の危険性を何度も警告しています。
『孫子の兵法』第二篇「作戦篇」

第14回【作戦篇(3)】補給線と戦費――敵から奪う発想

「作戦篇」は、『孫子』十三篇のうち、戦争にまつわる実務面の課題――兵糧、補給、戦費、物資の確保など――を主に扱う章でした。計篇の段階で「戦争を国家の死活問題と捉え、徹底した事前分析を行う」ことが示されていましたが、作戦篇では、それをさらに「いつ、どうやって補給を行い、いかに早期終結を狙うか」というリアルな側面から展開しています。
『孫子の兵法』第二篇「作戦篇」

第13回【作戦篇(2)】持久戦のリスクと短期決戦のメリット

今回【作戦篇(2)】では、残りの原文を読み進めつつ、作戦篇全体のテーマである「いかに戦争を短期間で終わらせるか」を再度掘り下げます。さらに、物資の再配分や将兵への報酬など、孫子が提示する具体策にも目を向けていきましょう。
『孫子の兵法』第二篇「作戦篇」

第12回【作戦篇(1)】速戦を目指す意義――兵糧と補給の重要性

「作戦篇」は、『孫子』十三篇のうち第2篇にあたります。計篇で「兵は国家の死活問題であり、事前の綿密な計画が必須」と説いた孫子は、続く作戦篇で 「具体的にどう補給線を維持し、いかに速戦で終わらせるか」 という実務的な課題に着目します。古今東西、戦争には莫大な費用と兵糧が必要です。孫子は 「長期戦は国家を疲弊させる」 と強く警告し、速戦のメリットや補給の大切さを説くのが作戦篇の主題となっています。
『孫子の兵法』第一篇「計篇」

第11回【計篇(6)】計篇の総括――総合的な戦略思考の起点

「計篇」は『孫子』の冒頭に位置する篇(へん)でありながら、全13篇の根幹とも言われる重要な内容を含んでいます。ここでは、“兵は国家の死活問題” という厳粛な宣言から始まり、五事・七計 といった基礎理論、さらに “兵は詭道なり” の概念や “多算勝” の徹底した事前分析思想が繰り返し強調されてきました。今回【計篇(6)】では、これまで5回にわたって解説してきた計篇の要点を総括するとともに、次の「作戦篇」への展望を述べます。計篇のエッセンスが見えてくると、『孫子』全体の流れを理解する大きな足がかりとなるはずです。